体に良いと言われる発酵食品。一口に発酵食品といっても納豆、ビール、チーズなどなど、たくさんあります。それらを作っているのが菌ですが、菌にもカビ、細菌、酵母などいろいろあります。そこで発酵食品と菌についてみていきたいと思います。
まず発酵食品は大きく「カビ・細菌・酵母」から作られています。それらが作る代表的な発酵食品は
・細菌…納豆、キムチ、ヨーグルト
・酵母…ビール、パン、ワイン
・カビ…甘酒、かつお節、
などがあります。
さらに、3つの菌を2つ以上組み合わせて使用するものとしては
・日本酒、チーズ、しょうゆ
などがあります。
発酵食品は総じて栄養価が高く健康を助けてくれますが、実は「カビ・細菌・酵母」の特性により、発酵食品自体にもいろんな違いが生まれてきます。
そこで次に、カビ・細菌・酵母の違いについてみてみましょう。
カビ・細菌・酵母は同じ菌類ではありますが、細かく分けると違う分類になります。
①「カビ」・「酵母」と「細菌」で細胞の構造に違い
「カビ」や「酵母」は、細胞の中に核やミトコンドリアのようないろんな器官が存在し、それぞれの働きで1つの細胞となっている生物(真核生物)に対し、「細菌」は核やミトコンドリアといった明確な器官がなく1つの細胞が全ての機能を担っている生物(原核生物)といった違いがあります。
簡単に言うと「細菌」の細胞は単純な構造をしていて、「カビ・酵母」の細胞は複雑な構造をしているということです。
(※ちなみに人間も「真核生物」なので、この分類では「カビ・酵母」と同じ仲間(?)です
②「カビ」と「酵母」は生物を構成する細胞の数に違い
「カビ」は細胞がたくさん集まって糸状など複雑な構造になる「多細胞」に対し、「酵母」は1つの細胞で構成される「単細胞」の違いがあります。
そのため「カビ」は大きくなると肉眼でも確認できますが、「酵母」は濁る程度で確認できないという見た目の違いの他、「カビ」は複雑な糸状の 表面からたくさん酵素を出すと言われています。
まとめると、細胞の数だけ見ると「細菌」と「酵母」は同じ「単細胞」ですが、細胞の構造は「酵母」の方が「複雑(高度)」です。「カビ」は「多細胞」に加え「複雑(高度)な構造」と
なります。
では次にこの構造の違いが発酵にどんな影響を与えるのかみてみましょう。
①細胞発酵は発酵速度が速い(納豆・キムチ・ヨーグルト)
細胞は単純な構造のためか、細胞分裂が早く、細胞の増殖スピードが速いことが多いです。そのため、細菌を使った発酵は比較的早く発酵が進みます。
例えば納豆は約1日で発酵ができます。他の雑菌が増える前にすごいスピードで納豆菌が増えるため、雑菌が増えず安全に食することができます。
②カビは複雑な発酵ができる(甘酒・かつお節)
カビは酵素を出すので、多様な酵素の力ででんぶんを糖に分解したり、たんぱく質をアミノ酸にしたりと多様な発酵ができます。
カビの発酵で代表的な麹菌(コウジカビ)は甘酒・かつお節に加え、みそやしょうゆ・日本酒などに使われます。みそやしょうゆは麹菌により作られた糖やアミノ酸をさらに違う菌で発酵して作られています。
③酵母はアルコールや二酸化炭素を作る(ビール・ワイン・パン)
酵母は生きるための活動をする際にアルコールや二酸化炭素を作ります。人間が酸素を吸って二酸化炭素を出す、植物は二酸化炭素を吸って酸素を出すのと同じようなものですね。
酸素がない時はアルコール、酸素があるときは二酸化炭素を作ります。パンの記事が発酵で膨らむのは酵母が作る二酸化炭素によるものです。
他にもアルコールを出す生物がいても、酵母は単純な細胞が代謝する際にアルコールを出すので、アルコールを作るスピードが速いためほぼ全ての酒は酵母を使って作られます。
発酵食品は体によさそう、それだけで十分ですが今回は発酵食品を作っている裏方にも種類があっていろんな違いがあるということをご紹介しました。
またいろいろ組み合わせることでたくさんの発酵食品が作られます。
例えばお酢は
①お米(でんぷん)を「麹菌」で発酵させ、糖質に変換
②糖質を「酵母」で発酵させアルコールに(日本酒)
③できたアルコールを「酢酸菌」で発酵し、酢が完成
ということで、3種の発酵菌が使われています。
普段食べている発酵食品はかなり手間暇かけて作られているんですね。
発酵食品はその過程で栄養価や風味も増え、おいしく健康を助けてくれるものもたくさんあります。ぜひ発酵食品の恵みを取り入れてください。